〜東京湾で「殺人犯」を見送る覚悟〜その遺骨、撒いてもいいのか?
海洋散骨で直面する「受け入れられない遺骨」への対応とは
このブログは、映画『水平線』が私たち散骨業者に突きつけた、一つの倫理的な問いから始まります。
「もし、凶悪な犯罪者の遺骨の散骨を依頼されたら──?」
その重すぎる問いに、私たちは真正面から向き合い、葛藤の末に一つの答えを導き出しました。
本記事では、ご遺族の想いと、社会の声の狭間で見つけた、私たちの誠実な答えをお伝えします。
1. 映画『水平線』が私たちに突きつけた問い
ピエール瀧さん主演、小林且弥監督の映画『水平線』(2022年公開)を観て、私たちは深く考えさせられました。
この映画は、東日本大震災後の福島を舞台に、散骨業を営む男が殺人犯の遺骨の散骨を依頼され、福島の風評被害を恐れる地元漁師や、真実を追うジャーナリストとの間で葛藤する物語です。
この映画は、全国の散骨業者にとって、決して他人事ではありません。
私たちがメインで散骨を行っている東京湾を舞台に、同様の状況が起こりうるからです。
このブログでは、映画をきっかけに、私たち自身が抱く「答えのない葛藤」について、正直に綴りたいと思います。
2. 「仕事の正義」と「揺れ動く心」
映画の中で、主人公はジャーナリストから「あなたは正義を売って金にしているのか?」と問われます。
この問いは、散骨業者として、ご遺族の最後の願いを叶えることと、社会的な倫理や正義の間にあるグレーに、どう向き合うべきかというものです。
もし、実際に凶悪な事件を起こした人のご遺族から「どうか、静かに、穏やかに海に還してあげてほしい」と涙ながらにお願いされたとしたら、私たちはそのご遺族の心情に深く心を揺さぶられるでしょう。
散骨を拒否することは、残されたご遺族の最後の希望を打ち砕くことにならないか──そう考えると、心は激しく揺れ動くのです。
3. 散骨業者としての「責任」と「境界線」
しかし、この葛藤には、もう一つの、そして最も大切な視点があります。
それは、散骨が故人のためだけでなく、それを見送る人たち、そしてそれを受け入れる社会のための行為でもあるということです。
社会的に強い批判を受けた人物の遺骨が「どこに、どのように処理されるのか」は、多くの人にとって非常にデリケートな問題です。
過去のケースでも、遺骨がどこに行くべきかを巡って争われたり、供養方法が議論されたりしています。
海は、分け隔てなくすべてを受け入れる場所である一方で、社会の痛みや記憶を沈める場所でもあります。
しかしその「無差別な受容」は、人間社会の「区別」や「配慮」と必ずしも両立しません。
私たちは、散骨業者として、この両者の間に責任を持って境界線を引く必要があると考えています。
4. 信頼を失うリスクを可視化する
もし、私たちがこのような散骨を安易に引き受けたとしたら、どうなるでしょうか。
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「なぜ、自分の故人と同じ場所に、重大な罪に問われた人物の遺骨を撒くのか」と、過去にご依頼くださったご遺族からの信頼を失うかもしれません。
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「あの海には、どんな人の遺骨が撒かれているのか」と、まだ散骨を検討中の方々に不安や偏見を与えてしまう可能性もあります。
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「自分の家族の遺骨が、もし…」という、不要な不安を読者に与えてしまうかもしれません。
一度失われた信頼は、二度と取り戻すことはできません。
ご遺族に心から安心して故人を託していただくための「クオリティー」とは、散骨の技術だけでなく、こうした懸念に真摯に向き合い、安易な判断をしないことであると私たちは考えます。
5. オフィス一凛が導き出した答え
どれだけ心が揺れようとも、私たちは最終的に、一つの結論にたどり着きました。
もし、東京湾で殺人犯や凶悪犯の遺骨の散骨を依頼されたとしても、心苦しいながらもお引き受けすることはできません。
その決断に至るまでには、以下の基準で判断します。
ご遺族の想いと、社会全体の感情のバランス
個人の願いは、散骨業者として最大限尊重すべきことです。
しかし、その行為が社会全体、特に事件の被害者やそのご遺族の心を深く傷つける可能性はないか。
私たちは、個人の悲しみに寄り添うことと、社会が抱く倫理観との間に大きな隔たりがないか、慎重に判断します。
既存のご遺族への責任
これまで、オフィス一凛に大切な故人のご供養を託してくださったすべてのご遺族の想いを守り抜けるか。
もし、そうしたご遺骨と同じ海に、重大な罪に問われた人物の遺骨が散骨されたとしたら、ご遺族が抱くであろう不信感や悲しみを私たちは無視できません。
ご遺族からの信頼は、私たちの事業の根幹です。
会社の理念との整合性
「安全とクオリティー」というオフィス一凛の理念は、ただ物理的な安全を指すのではありません。
ご遺族の心が安らかであること、故人が尊厳を持って見送られること、そのすべてがクオリティーです。
特定の依頼が、この理念を揺るがすことにならないか。私たちは、この問いに真摯に向き合います。
6. 海が教えてくれた「水平線」の意味
散骨は、故人が個としての存在を終え、大いなる自然の一部となる尊いセレモニーです。
私たちは海が何でも受け入れてくれると考えるのではなく、どんな想いで、どんな心で見送るのかという人間側の態度に責任があると考えています。
このブログは、これまで東京湾に故人を見送ってくださった皆さま、そしてこれから散骨を考えるすべてのご遺族の方々へ、私たちの覚悟と、揺るがぬ理念をお伝えするために書かせていただきました。
今後も私たちは、どんなご依頼にも誠実に向き合い、安心して託していただける見送りの場を守り続けます。
東京や関東近県で海洋散骨をご検討でしたら、ぜひ海洋散骨オフィス一凛にご相談ください。
ご依頼者の安全と海洋散骨のクオリティーは業界トップレベルとご評価いただいており、 Google口コミ にも良い評価が多数反映されています。故人の個性やご家族の希望を最大限に尊重した、安心できるお見送りをご提案させていただきます。
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