墓地の倒産や破綻のリスクとは?
寺院や管理会社の危険性
日本では、遺骨を「お墓」や「納骨堂」に納めることが一般的とされています。
しかし、宗教的な事情や金銭的な理由から、自宅で遺骨を保管・供養している方も少なくありません。
中には「散骨」などを選ばれ、遺骨が手元に残っていない方もいらっしゃいます。
現在も多くの方が、寺院や霊園のお墓に遺骨を納めています。
しかし、そういった寺院や霊園が倒産することがあるという事実をご存じでしょうか?
近年では、北海道札幌市の納骨堂が経営破綻し、「約1000体の遺骨を残して経営者が失踪した」事例も報じられました。
今回は、一見安全に思える寺院や管理会社のリスクについて詳しく解説していきます。
目次 |
1.【なぜ?】お墓に遺骨を保管する理由
「遺骨は家にあります」という方が、実はかなり多いことをご存じでしょうか?
「お墓に入れるのが当たり前」と思われがちですが、実はそうとは限りません。
昔から日本では、火葬後に寺院や霊園の墓地に遺骨を納めることが主流でした。
ですが、実際には遺骨の自宅保管は法的にも問題ありません。
15世帯に1世帯の割合で、自宅で遺骨を保管しているとも言われています。
「法律で墓地に納めるよう決まっている」と誤解している方も多いですが、正しくは次のとおりです:
- ・墓地以外での「埋葬」は違法(例:庭に埋める)
- ・故意に捨てる行為は罰則あり
- ・自宅での保管・供養は違法ではない
つまり、自宅保管は自由です。
2.【本当?】墓地が倒産するって本当?
供養方法は「お墓・樹木葬・自宅保管・散骨」など、現代では多様化しています。
しかし依然として、「亡くなったらお墓に納めるのが当たり前」「お墓に入らないと供養にならない」といった考えが根強く残っています。
ところが、その“当たり前”とされる供養方法には、意外な落とし穴があるのです。
それは、墓地や霊園が経営破綻する可能性があるという現実です。
お墓というのは「一度購入すれば永続的に使える」「安心して遺骨を納められる」と考えがちですが、必ずしもそうとは限りません。
実際に、近年では北海道・札幌市の大型納骨堂が経営破綻し、使用権を持っていた利用者に混乱が生じました。
中には、納骨された遺骨が置き去りにされたまま、運営者が消息を絶ったというケースも報告されています。
こうした事例はごく一部に過ぎず、今後も墓地や納骨堂が経営難に陥る可能性は全国的に存在します。
少子高齢化、墓離れ、地方離れ、運営法人の高齢化や後継者不足など、さまざまな社会的要因が背景にあり、どんなに立派なお墓であっても、運営母体が不安定であれば、倒産のリスクとは無縁ではいられません。
「まさか自分が契約している墓地が倒産するなんて…」と思う方が多いかもしれませんが、これは決して他人事ではないのです。
3.【リスク】墓地倒産で何が起こる?
墓地や納骨堂が倒産・経営破綻した場合、もっとも気になるのは「遺骨はどうなるのか?」という点です。
結論としては、破綻後すぐに遺骨が処分されたり、無断で移動されることはありません。
通常は、以下のような流れになります:
- ・新しい管理者が引き継ぐ
- ・引き継ぎ先が見つからなければ、遺族へ返還される
- ・長期間管理不在なら、行政が関与するケースもある
つまり「供養が一時的にストップするリスク」があるということです。
さらに、納骨している場所がビル型納骨堂など都市部の物件だった場合、土地の再開発や建物の老朽化により、強制的に立ち退きが発生するリスクもあります。
倒産や廃業リスクは、単なる経営問題ではなく、遺骨の行き場や供養の継続にも影響を及ぼすのです。
4.【現実】人気がない墓地は潰れる時代に
墓地の管理主体には、地方自治体・宗教法人・公益法人があります。
特に宗教法人が名義を貸し、実態は一般企業が運営する墓地も存在します。
こうした施設は、経営悪化すると倒産リスクが高くなります。
都市部で人気のビル型納骨堂にも課題があります。
- ・お参りが混雑する
- ・納骨数に限りがある
- ・地価高騰で運営が赤字化しやすい
- ・火災・地震リスク
- ・倒産リスク
このようなデメリットも理解したうえで、選ぶ必要があります。
5.【経営】宗教法人も税金を払っている
「宗教法人は税金を払っていない」と思われがちですが、実際には活動内容によって法人税や消費税などの課税義務が生じます。
- 宗教活動そのもの(お布施・お守り・法要など)は非課税。
- 一方、物品販売や土地賃貸、駐車場運営、宿泊業など「収益事業」には法人税がかかります。
国税庁や各税理士事務所によれば、宗教法人は非営利目的であっても、収益事業を営む場合は法人税課税対象となり、収益のある事業が34種類に分類されているとされています。(例:駐車場、出版、宿泊、茶道教室など)
また、固定資産税や登録免許税も、境内や建物が宗教活動のためだけに使用されている場合は非課税ですが、営利目的で使われている部分は課税対象になります。
消費税についても、対象取引があれば課税が必要です。
墓地・霊園の管理料、駐車場利用料などは課税対象となる一方で、お布施やお賽銭には消費税がかかりません。
近年、税務当局による宗教法人への調査も増加しています。
中には、「非課税だと思っていたが、収益事業と認定され、追徴課税を受けた。」というケースも複数報告されており、宗教法人の経営には透明性と専門家による適切な対処が求められています。
さらに、宗教法人内で僧侶が給与を受け取る場合、その所得に対して所得税や住民税も発生します。
報酬や住居提供なども現物給与として課税対象になるため、給与設定にも慎重な対応が求められます。
以上のように、宗教法人でも営利目的の活動や収益事業には厳格な税務対応が必要です。
「坊主丸儲け」ではなく、むしろ一般企業以上に税務リスクや経営の透明性が問われる時代に入っていると言えるでしょう。
6.【理由】儲からないと倒産する
日本全国の寺院において、今後20~25年で30~40%が消滅すると予測されています。これは、少子高齢化、檀家減少、後継者難、さらに収益基盤の喪失が重なった影響です。
たとえば、宗教学者・石井研士氏は、2040年までに「宗教法人のうち3分の1以上が消滅する可能性がある」と指摘しています。
また、ジャーナリスト鵜飼秀徳氏は、「約7万7000軒ある寺院のうち、3割〜4割が消滅する可能性がある」とデータをもとに警鐘を鳴らしています。
さらに、年収300万円以下の寺院が全体の4割以上を占めているという報道もあり、実質的に経営が成り立たない寺院が急増しています。
▼ 背景要因には以下のようなものがあります:
- 檀家制度の崩壊 → 都市移住や核家族化によって、葬儀や墓じまいの簡素化が進む
- 後継者不足 → 若手僧侶が育っておらず、曹洞宗では若手僧侶割合が急減しているとの報告も
- 収益の柱消失 → 境内の駐車場や農地などの収益源もコロナや土地改革によって激減
このような状況下、寺院や霊園がビジネスとして立ち行かなくなると閉鎖・売却が進みます。
近年では、法人格を持つ寺院が資産として**買収される事例も発生しており、遺骨の移動トラブルや管理方針の一方的な変更といった問題が報告されています。
また、寺院購入には特別な資格が不要であり、外国人による寺購入・転用の可能性も指摘されており、今後は宗教単位を超えた寺の売買リスクに対する意識も必要になってきます。
総じて、寺院や霊園含めた墓地関連施設も、「儲からなければ生き残れない」時代に突入しているのです。
7.【まとめ】大切な遺骨を守るために
宗教法人や一般企業の管理会社が破産や倒産しても、納めている遺骨が破棄されたりすることはありません。
管理者の変更があり、運営は継続されることになります。
しかし、後続の管理者が決まらなかった場合、 遺骨は「遺族のもとに返される」ことになります。
そうならない為には自治体が管理する霊園に遺骨を納めるか、散骨して形にこだわらない供養方法の選択肢があっても良いのではないでしょうか。
遺骨を納めた霊園や納骨堂に樹木葬などを管理する会社や団体が、倒産や破産してしまうリスクは決して他人事ではないのです。
そんなリスクを負ってまで遺骨を納める意味は、本当にあるのでしょうか?
あなたの先祖のお墓は大丈夫ですか…?
これからはお寺の経済的な安定性が、求められる時代なのかもしれませんね。
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