お墓を放置するとどうなる?

無縁墓と墓じまいを解説
お墓を放置すると、管理料の滞納や無縁墓につながることがあります。
墓じまいの手続きから、その後の供養方法まで分かりやすく解説します。
この記事はこんな方におすすめ
1.【放置】お墓を放置するとどうなる

お墓は、しばらく墓参りに行かなかっただけで撤去されるものではありません。
ただし、管理料の滞納が続いたり、墓地の管理者が使用者や承継者と連絡を取れなくなったりすると、状況は変わってきます。
草木が伸びたままになれば、隣のお墓に枝葉が入り込むなど、周囲に影響が出ることもあります。
📌 管理料の滞納
✔ 墓地管理者から支払いの連絡や督促を受けることがあります。
📌 お墓の管理不足
✔ 雑草や樹木が伸び、周囲のお墓に影響する場合があります。
📌 承継者と連絡が取れない
✔ 状況によっては無縁墳墓として手続きが進められることがあります。
ここで注意したいのは、「放置したらすぐに無縁墓になる」というわけではないことです。
無縁墳墓に納められた遺骨を別の場所へ移す場合、墓地管理者は法律に基づいた手続きを行う必要があります。
そのため、お墓の管理が難しくなった段階で、放置するのではなく、墓地や霊園の管理者に相談しておくことが大切です。
無縁墳墓の改葬後に遺骨が合祀墓などへ移されると、他の方の遺骨と一緒に納められるため、個別に取り出すことができなくなる場合があります。
お墓を残すのか、それとも墓じまいをするのか。
まずは放置したままにせず、今後の管理方法を家族で確認することから始めましょう。
2.【墓じまい】費用と手続きの基本

お墓を維持することが難しくなったとき、選択肢の一つになるのが「墓じまい」です。
墓じまいとは、現在のお墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去して墓地を管理者へ返還することを一般的に指します。
ここで知っておきたいのが、「墓じまい」と「改葬」は同じ意味ではないことです。
📌 墓じまい
✔ 墓石を撤去し、墓地を管理者へ返還することを一般的に指します。
📌 改葬
✔ 遺骨を現在の墓地などから別の墓地や納骨堂へ移すことです。
たとえば、墓じまいをして遺骨を納骨堂や別のお墓へ移す場合には、原則として市区町村から「改葬許可」を受ける必要があります。
手続きの方法や必要書類は自治体によって異なるため、まずは現在のお墓がある市区町村と墓地管理者に確認しておくと進めやすくなります。
📌 墓じまいで確認したい主な費用
✔ 墓石の解体・撤去費用
✔ 遺骨を移す場合の新しい供養先の費用
✔ 寺院墓地ではお布施などが必要になる場合があります
✔ 遺骨の状態によっては洗浄や乾燥などの費用がかかる場合があります
墓石の撤去費用は、お墓の広さや墓石の量だけで決まるものではありません。
重機が入れない墓地や通路が狭い場所では人力での作業が増えるため、同じ大きさのお墓でも費用に差が出ることがあります。
見積もりでは、墓石の撤去だけでなく、運搬や処分、更地に戻す作業まで含まれているか確認しましょう。
追加費用の条件も事前に確認しておくと安心です。
また、墓じまい後に海洋散骨や手元供養を考えている場合は、別の墓地や納骨堂へ移す場合とは扱いが異なります。
必要な書類や手続きについては、現在のお墓がある市区町村と墓地管理者へ事前に確認してから進めましょう。
墓石を撤去して終わりではなく、取り出した遺骨をその後どうするのかまで決めておくことが、墓じまいを進めるうえで大切な準備になります。
3.【背景】墓じまいが増えた理由

墓じまいという言葉を耳にする機会は、以前より増えました。
その動きを知る一つの資料が、厚生労働省の「衛生行政報告例」です。
この統計では「墓じまい」という名称ではなく、遺骨を現在の墓地などから別の墓地や納骨堂へ移す「改葬」の件数が集計されています。
墓じまいでは墓石を撤去して墓地を返還しますが、その後に遺骨を別の墓地や納骨堂へ移す場合は「改葬」に当たります。
そのため、公的な改葬件数をそのまま墓じまい件数として扱わないことが大切です。
では、なぜお墓を移したり、墓じまいを考えたりする家庭が増えているのでしょうか。
📌 お墓を継ぐ人がいない
✔ 子どもがいない場合や、子どもに管理を任せたくない家庭があります。
📌 お墓が遠くにある
✔ 進学や就職、転居などで実家を離れ、お墓参りや管理が難しくなることがあります。
📌 高齢になり管理が難しい
✔ 草取りや掃除、長距離の移動が負担になり、お墓を維持できなくなる場合があります。
📌 子どもや孫に負担を残したくない
✔ 自分の代で墓じまいを済ませ、次の世代に管理を引き継がせない考え方もあります。
こうした事情は一つだけとは限りません。
「お墓が遠い」「自分も高齢になった」「将来は継ぐ人がいない」など、いくつかの事情が重なって墓じまいを考え始める家庭もあります。
自宅から通いやすく、家族が今後も管理できるのであれば、お墓を残すことも選択肢です。
反対に、管理する人がいなくなることが分かっている場合は、元気なうちに今後について話し合っておく方法もあります。
墓じまいを考える理由は、費用だけではありません。
誰が管理するのか、どこにお墓があるのか、将来もお参りできるのか。
こうした家族の状況を確認したうえで、お墓を残すのか見直すのかを考える必要があります。
※厚生労働省の衛生行政報告例では「改葬数」が集計されています。「墓じまい件数」そのものを示した統計ではありません。
4.【無縁墓】撤去されるまでの流れ

お墓を管理する人や故人の縁故者がいなくなった場合、そのお墓が「無縁墓」として扱われることがあります。
ただし、管理する人がいなくなったからといって、墓地管理者がすぐに遺骨を移したり、墓石を撤去したりできるわけではありません。
無縁墳墓に納められている遺骨を改葬する場合には、法律に基づいた手続きが必要です。
📌 縁故者などへ申し出を求める
✔ 1年以内に申し出るよう官報に掲載します。
📌 お墓にも立札を設置する
✔ 墳墓の見やすい場所に立札を1年間掲示します。
📌 申し出がないことを確認する
✔ 期間中に申し出がなければ、必要書類をそろえて改葬許可を申請します。
📌 市区町村から改葬許可を受ける
✔ 許可を受けたうえで、遺骨を別の墓地などへ移します。
このように、無縁墓の改葬には一定の手順があります。
「管理料を払わなかったらすぐ撤去される」「何年か墓参りに行かなければ自動的に無縁墓になる」というものではありません。
一方で、墓地の使用規則や管理料の扱いは墓地・霊園によって異なります。
管理料の滞納や連絡先の変更がある場合は、現在のお墓がどのような状態になっているのか、墓地管理者へ確認しておくとよいでしょう。
無縁墳墓の改葬手続きは、納められている遺骨を移すための手続きです。
墓石などの所有権や使用権といった権利関係まで、この手続きだけで処理されるわけではありません。
無縁墳墓から改葬された遺骨は、墓地や霊園の合祀墓などへ移されることがあります。
他の方の遺骨と一緒に納める方法では、後から特定の遺骨だけを取り出すことが難しくなります。
将来お墓を管理する人がいなくなることが分かっているのであれば、無縁墓になるまで待つのではなく、その前に家族や墓地管理者と今後について話し合っておくことが大切です。
5.【注意】親族や寺院とのトラブル

墓じまいは、自分一人の判断だけでは進めにくい場合があります。
親族の考え方が違ったり、寺院や墓地との確認が不足していたりすると、墓じまいを始めてから話がまとまらなくなることもあります。
特に確認しておきたいのが、親族・墓地管理者・石材店との話し合いです。
📌 親族への相談
✔ 墓じまいを決める前に、理由と今後の供養方法を伝えておきます。
📌 墓地管理者への確認
✔ 必要な手続きや墓地返還の条件、指定石材店の有無などを確認します。
📌 石材店への見積もり
✔ 作業範囲と追加費用が発生する条件まで確認しておきます。
親族間で意見が分かれやすいのは、「お墓を残したい人」と「管理を続けることが難しい人」で置かれている状況が違うためです。
墓じまいを決めてから報告するのではなく、なぜ管理が難しいのか、取り出した遺骨をどこで供養するのかまで説明しておくと、話し合いを進めやすくなります。
寺院墓地の場合も、最初から墓石の撤去を依頼するのではなく、まず住職や墓地管理者へ墓じまいを考えていることを伝えましょう。
これまでの供養に対するお布施などについて話が出ることもありますが、いわゆる「離檀料」には全国一律の金額が定められているわけではありません。
寺院との関係や墓地の契約内容はそれぞれ異なります。
分からない費用があれば、何に対する金額なのかを確認し、双方で認識を合わせてから進めましょう。
墓石の撤去についても、自由に石材店を選べる墓地ばかりではありません。
寺院や霊園によっては指定石材店が決められている場合があるため、他社へ依頼する前に墓地の使用規則を確認しておく必要があります。
指定がない場合に複数の石材店へ見積もりを依頼するのであれば、金額だけでなく、墓石の撤去・運搬・処分・整地までどこまで含まれているのかを比較しましょう。
親族に相談する → 墓地管理者に確認する → 墓じまい後の供養先を決める → 石材店へ依頼する。
この順番を意識すると、手続き途中で条件が変わるリスクを減らせます。
墓じまいのトラブルは、費用だけが原因とは限りません。
「聞いていなかった」「そういう意味だと思わなかった」という認識の違いから話がこじれることもあります。
墓石を撤去する前に、関係する人と必要な確認を済ませておくことが、トラブルを防ぐ基本です。
6.【判断】お墓を残すか見直すか

お墓の管理が負担になってきたからといって、必ず墓じまいをする必要はありません。
家族がお参りしやすく、今後も管理する人がいるのであれば、そのままお墓を残す方法もあります。
反対に、承継する人がいない、遠方で管理できないといった事情があれば、早めに今後を考えておいた方がよい場合もあります。
📌 今後も管理する人がいるか
✔ 自分の後に誰がお墓を管理するのか確認しておきます。
📌 無理なくお参りできる場所か
✔ 距離や交通手段、高齢になった場合まで考えてみましょう。
📌 維持費を払い続けられるか
✔ 管理料など、今後必要になる費用も確認しておきます。
📌 家族はどう考えているか
✔ 管理を引き継ぐ可能性がある家族の意向も確認します。
お墓には、故人や先祖を身近に感じながら手を合わせられる場所としての役割があります。
家族が集まる場所として大切にしている家庭であれば、費用や手間だけを理由に手放す必要はないでしょう。
一方で、お墓を残すことによって、次の世代が管理料の支払いや掃除、遠方への墓参りを引き継ぐこともあります。
現在は管理できていても、10年後、20年後に誰が管理するのかまで考えると、見え方が変わることがあります。
お墓を残す場合も墓じまいをする場合も、現在の負担だけで判断するのではなく、将来の承継者や家族の生活環境まで考えておくことが大切です。
また、「子どもに迷惑をかけたくない」という理由だけで、自分一人で墓じまいを決めてしまうのも注意が必要です。
本人は負担だと考えていても、子どもや親族がお墓を残したいと考えていることもあります。
反対に、当然引き継いでもらえると思っていても、家族は管理することが難しいと感じているかもしれません。
「このお墓を将来どうしたい?」と話してみるだけでも、家族の考えを知ることができます。
墓じまいを決めるためではなく、今後のお墓について話すきっかけにするとよいでしょう。
お墓を残すことにも、墓じまいをすることにも、それぞれ理由があります。
大切なのは、管理できなくなるまで先送りするのではなく、家族が話し合えるうちに今後を考えておくことです。
墓じまいを選んだ場合は、取り出した遺骨をどのように供養するのかという次の選択が必要になります。
7.【供養】墓じまい後の選択肢

墓じまいをする場合は、お墓から取り出した遺骨をその後どうするのか決める必要があります。
新しいお墓へ移す方法だけでなく、永代供養墓や納骨堂、樹木葬、海洋散骨など、現在は複数の選択肢があります。
それぞれ供養の方法や契約内容が違うため、費用だけでなく、将来誰が管理するのかまで確認して選びましょう。
📌 永代供養墓
✔ 寺院や霊園などが遺骨を管理・供養するお墓です。
📌 納骨堂
✔ 建物内などに遺骨を収蔵する施設で、都市部にも多くあります。
📌 樹木葬
✔ 樹木や草花などを墓標とする墓地で、埋葬方法は施設によって異なります。
📌 手元供養
✔ 遺骨の全部または一部を自宅などで保管して供養する方法です。
📌 海洋散骨
✔ 粉末状にした遺骨を海へ散布して供養する方法です。
永代供養墓や納骨堂、樹木葬では、「一定期間は個別に納め、その後は合祀する」といった契約もあります。
「永代供養だからずっと個別に納骨される」「樹木葬だから必ず承継者がいらない」とは限りません。
契約する前に、個別に供養される期間、合祀される時期、年間管理費、承継者が必要かどうかを確認しておきましょう。
一定期間が過ぎると合祀墓へ移される契約では、その後に遺骨を個別に取り出せなくなる場合があります。
契約期間と納骨方法は事前に確認しておきましょう。
海洋散骨は、墓地や納骨堂に遺骨を納める方法とは異なり、粉末状にした遺骨を海へ散布します。
墓石や納骨施設を持たないため、その後のお墓の管理は必要ありません。
一方で、散骨した遺骨を後から元に戻すことはできません。
家族の中にお墓や納骨先を残したい人がいる場合は、遺骨の一部を手元に残したり、分骨して別の場所へ納めたりする方法も考えられます。
海洋散骨は、どこでも自由に行ってよいものではありません。
厚生労働省のガイドラインでは、海岸から一定の距離がある海域で行うことや、漁場・養殖場・航路を避けることなどが示されています。
墓じまい後の供養方法は、「費用が安い」「管理がいらない」という理由だけで決めない方がよいでしょう。
どこで手を合わせたいのか、遺骨を残したいのか、将来誰かに管理を引き継ぐのか。
家族で確認してから選ぶことで、自分たちに合った供養方法を絞りやすくなります。
8.【まとめ】放置する前に考えること

お墓を残すか、墓じまいをするかで迷っていても、急いで決める必要はありません。
ただ、管理する人がいない状態で放置すると、管理料の滞納や墓地の荒廃につながります。
さらに墓地管理者が使用者や承継者と連絡を取れない状態が続けば、将来的に無縁墓として改葬の手続きが進められることもあります。
📌 お墓を残す場合
✔ 誰が管理を引き継ぐのか家族で確認しておきます。
📌 墓じまいをする場合
✔ 墓地管理者へ相談し、返還方法や必要な手続きを確認します。
📌 遺骨を移す場合
✔ 新しいお墓や納骨堂など、次の納骨先を決めておきます。
📌 海洋散骨を選ぶ場合
✔ 散骨する範囲や、一部を手元に残すか家族で話し合います。
現在のお墓を無理なく管理でき、将来も引き継ぐ人がいるのであれば、そのまま残す方法があります。
遠方で通うことが難しい、承継する人がいない、管理を続けることが負担になっている場合は、墓じまいを検討する時期かもしれません。
住所や連絡先が変わった場合は墓地管理者へ届け出が必要か確認し、管理料の支払いや墓地の使用状況も確認しておきましょう。
墓じまいを選んだ場合は、遺骨をどこで、どのように供養するのかも決めておく必要があります。
永代供養墓や納骨堂、樹木葬、手元供養、海洋散骨などを比較し、家族の希望や将来の管理まで考えて選びましょう。
お墓を放置して無縁墓になるのを待つのではなく、管理が難しいと感じた段階で、家族や墓地管理者と今後について話し合っておくことがトラブルの予防につながります。
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