金歯・人工関節はどうなる?火葬後の金属回収

残骨灰から有価金属を回収する仕組み
火葬後の残骨灰には、金歯や人工関節などに使われた金属が残ることがあります。
この記事では、有価金属が回収・売却される仕組みと、残されたご遺骨の扱いについて自治体の実例を交えて解説します。
この記事はこんな方におすすめ
1.【残骨灰】火葬後に残る金属とは

火葬が終わると、ご遺族が骨壺へご遺骨を納める「収骨」が行われます。
地域や火葬場によって収骨の方法は異なりますが、収骨後に残った骨片や灰などは、一般に「残骨灰(ざんこつばい)」と呼ばれています。
✔ 収骨されなかった骨片や灰。
✔ 棺や副葬品などの燃え残り。
✔ 歯科治療などに使われた金属。
残骨灰の中には、歯科治療で使われた金・銀・パラジウムなどの金属が含まれている場合があります。
また、人工関節や医療用インプラントなど、火葬後も燃えずに残る金属製品が見つかることもあります。
📌 粉骨の現場でも金属片が見つかる
実際にご遺骨をパウダー状にする粉骨作業を行っていると、ご遺骨の中から棺に使われていたと考えられる金具や、火葬時の熱で溶けて固まった小さな金属片が見つかることがあります。
中には貴金属を含んでいる可能性のある金属片が混じることもありますが、見た目だけで金属の種類や成分を判断することはできません。
📌 金歯そのものが残るとは限らない
「金歯」と聞くと、歯の形のまま火葬後に残っている姿を想像するかもしれません。
実際には高温で変形したり、ほかの金属や灰などと混ざった状態で残ったりするため、見た目だけで金やパラジウムを判別できるとは限りません。
残骨灰には骨片だけでなく、灰や燃え残り、有価金属などさまざまなものが混在しています。
自治体によって処理方法が異なるため、全国の火葬場で同じ方法が採用されているわけではありません。
こうした残骨灰に含まれる金属を分別し、資源として再利用する自治体が近年見られるようになっています。
では、収骨後に残った金属は、実際にどのような工程で分別されるのでしょうか。次章では火葬場における金属回収の流れを見ていきます。
2.【回収方法】金属はどう分別される?

火葬後に残った金属を、その場ですべて火葬場の職員が取り出して売却しているわけではありません。
残骨灰の処理方法や契約内容は自治体によって異なり、専門事業者へ処理を委託しているケースもあります。
✔ 火葬後、ご遺族による収骨が行われる。
✔ 収骨後に残った残骨灰をまとめる。
✔ 処理工程で金属などを分別する。
✔ 有価金属は精錬などを経て売却される。
たとえば横浜市では、市営斎場から発生する残骨灰について事業者と売払契約を結び、有価金属などを分別する仕組みを採用しています。
ここで大切なのは、金属だけを取り出して残りを廃棄する仕組みではないという点です。
📌 金属を分別した後の残骨はどうなる?
横浜市では、有価金属などを分別した後の残骨について、墓地などへ適正に埋葬・供養することを事業者に求めています。
つまり、有価金属の再資源化と、残されたご遺骨の供養を分けて考える仕組みが取られています。
残骨灰の処理や金属回収について、全国の火葬場で同じ方法が採用されているわけではありません。
自治体や斎場によって、処理方法や契約内容、売却益の扱いなどに違いがあります。
では、残骨灰から回収された金や銀、パラジウムなどは、実際にどの程度の金額で売却されているのでしょうか。
次章では、自治体が公表している実際の売却実績を比較してみます。
3.【売却実態】自治体ではいくらになる?

残骨灰から分別・精錬された金や銀などは、実際に自治体が売却している例があります。
売却額まで公表している自治体もあり、残骨灰に含まれる有価金属がまとまった金額になるケースも確認できます。
📊 自治体が公表した有価金属の売却実績
| 自治体 | 主な金属 | 売却額 |
|---|---|---|
| 岐阜市 | 金・銀・プラチナ・パラジウム | 約4,432万円 |
| 関市 | 金・銀・パラジウム | 約200万円 |
※岐阜市は令和7年度、関市は令和8年度の公表値です。火葬件数や対象期間、処理方法などが異なるため、自治体間の単純な比較はできません。
特に岐阜市の令和7年度実績を見ると、金だけで1,970.90g、パラジウムも2,083.20gが売却されています。
売却額は、金が31,720,760円、パラジウムが11,253,040円となっており、この2種類だけでも4,000万円を超えています。
✔ 火葬炉など斎場設備の整備。
✔ 施設の維持管理。
✔ 斎場周辺の環境整備。
岐阜市では、有価金属の売却金を火葬炉の整備や施設の維持管理、周辺の環境整備などに活用すると公表しています。
関市でも、売却金を斎場の施設維持管理などに活用する方針が示されています。
📌 「火葬場が金歯で儲ける」とは少し違う
数千万円という金額だけを見ると、火葬場の新たな収益事業のように感じるかもしれません。
しかし、公表されている自治体の例では、売却金を斎場の整備や維持管理などに充てており、公共施設の財源として活用されています。
残骨灰に含まれる金属の量や種類に加え、売却時の金属価格などによって金額は変わります。
一つの自治体の実績から、全国の火葬場でも同程度の収入があるとは判断できません。
実際に有価金属が売却され、斎場の維持管理などに活用されていることは分かりました。
一方で気になるのが、金属を分別した後に残るご遺骨です。次章では、残骨の供養と故人への配慮について見ていきます。
出典 1: 岐阜市「令和7年度残骨灰有価物の売却結果及び売却金の使途について」
出典 2:関市「残骨灰有価物の売却結果及び売却金の使途について」
4.【遺骨供養】金属回収後はどうなる?

残骨灰から金や銀などを回収すると聞いて、「残ったご遺骨まで売却されるのでは」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、有価金属を分別した後の残骨について、墓地への埋葬や供養を処理条件としている自治体もあります。
📌 金属と残骨は分けて扱われる
横浜市では、残骨灰から有価金属などを分別した後、残骨を墓地などへ適正に埋葬・供養することを事業者に求めています。
✔ 有価金属と残骨を分けて処理する。
✔ 残骨は墓地などへ埋葬・供養する。
✔ 処理方法や売却の内容を公表する。
つまり、金属を資源として活用することと、残されたご遺骨を供養することは、必ずしも相反するものではありません。
一方で、残骨灰には故人の骨片が含まれるため、一般的な金属スクラップと同じ感覚では扱えない問題でもあります。
📌 遺族が知ることのできる仕組みも大切
金属回収に合理性があっても、遺族にとっては故人に関わるものです。
何を回収し、残骨をどう供養し、売却金を何に使うのかが分かることは、遺族の不安を減らすうえでも大切です。
残骨灰の処理方法や有価金属の売却、残骨の供養方法は自治体や斎場によって異なります。
この記事で紹介している方法が、すべての火葬場で行われているわけではありません。
最後に、残骨灰の資源化が今後どのように考えられていくのかを見ていきます。
5.【これから】資源化と供養は両立する?

火葬後に残る金歯や人工関節などの金属は、これまで処理されていたものから、再利用できる資源として捉えられるようになっています。
実際に、有価金属を売却し、その収入を斎場の維持管理などに活用している自治体もあります。
📌 大切なのは金属の価値だけではない
金や銀、パラジウムには市場価値があります。しかし、残骨灰は一般的な金属スクラップとは性質が異なります。
そこには収骨されなかったご遺骨が含まれており、故人や遺族への配慮を切り離して考えることはできません。
✔ 再利用できる金属を無駄にしない。
✔ 残されたご遺骨を丁寧に扱う。
✔ 処理や売却の方法を分かりやすくする。
金属の再利用には資源を無駄にしない利点がありますが、残骨灰にはご遺骨も含まれています。
どのように分別し、残ったご遺骨をどう供養し、売却によって得た収入を何に使うのかまで見る必要があります。
📌 知らなかったことを知るきっかけに
火葬後の金属回収について、葬儀や火葬の際に詳しく知る機会はそれほど多くありません。
金歯や人工関節が火葬後にどうなるのかという疑問から、残骨灰やその供養について知ることも、故人を送る仕組みを考える一つのきっかけになります。
残骨灰や有価金属の扱いは、自治体や斎場によって異なります。
具体的な取り扱いを知りたい場合は、利用する火葬場や自治体へ確認するのが確実です。
火葬後に残る金属を資源として生かしながら、ご遺骨は粗末に扱わない。
その二つを両立させることが、これからの残骨灰の取り扱いを考えるうえで欠かせない視点ではないでしょうか。
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