日本人が1200年前から選んでいた“散骨”という供養|天皇や万葉集が語る物語
お墓や遺骨は残すべきか── 自然に還るべきか──
「自分が亡くなったあと、どんな供養をしてほしいか」
そんな問いが、近年ますます他人事ではなくなってきています。
「お墓を継ぐ人がいない」「子孫に負担をかけたくない」「自然に還りたい」
そうした想いから、散骨という供養の選択肢に注目が集まっています。
実はこの散骨、日本では決して新しい考え方ではありません。
この記事では、日本の知られざる散骨文化の歴史を、天皇の散骨記録や万葉集の和歌を交えながらわかりやすくご紹介します。
1. 【序章】お墓の「当たり前」を問い直す:散骨という選択肢
: 現代人が抱える供養の悩み
「お墓、どうしよう?」
この悩みは、もはや他人事ではありません。
少子高齢化、核家族化が進む現代において、「お墓を継ぐ人がいない」「子孫に負担をかけたくない」といった声が日々増えています。
また、「形あるものに囚われず、故人を自然に還してあげたい」と願う方も少なくありません。
そんな中で、近年注目を集めているのが「散骨」という供養方法です。
しかし、「散骨って最近の新しい供養なんでしょ?」「本当に大丈夫なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
実は、日本の散骨の歴史は私たちが想像するよりも、はるかに古く、人々の生活に根差した自然な供養の形として存在していました。
自然葬とは、まさにそのルーツを辿る概念でもあります。
2. 【起源】散骨の起源:時を超えて続く“自然葬”のルーツ
: お墓文化はいつ始まった?埋葬から墓石の歴史
私たちの祖先は、ご遺体を土に埋める「埋葬」を行っていました。
しかし、現在の墓石のようなものはなく、お墓が権力者の象徴としての古墳時代を経て、平安時代に貴族の間で火葬と墓が始まりました。
鎌倉時代には庶民にも仏教が広まり、土葬と火葬が共存し江戸時代に土葬が主流となり、土を盛るお墓が築かれました。
一般に広くお墓が普及したのは、実は近年のことです。
多くの庶民が自身の家のお墓を持つようになったのは、昭和30年代の高度経済成長期以降といわれています。
3. 【散骨】現代への橋渡し:石原裕次郎さんが広めた海洋散骨
: 散骨事例:有名人がきっかけとなった認知度向上
日本は昔から「お墓文化」だと思われている方も多いのではないでしょうか。
しかし、実は日本の散骨の歴史はとても古いのです。
最近ではテレビなどのメディアで散骨が取り上げられるようになり、その認知度は着実に上がっています。
散骨が世間に広く知られるきっかけとなったのは1987年、俳優・石原裕次郎さんが亡くなった際、 ご遺骨が海に散骨されたことが報道されました。
この衝撃的な報道が火付け役となり、 「海洋散骨」という供養方法が広く知られるようになったと言われています。
4. 【歴史】古文書が語る散骨の真実:天皇も選んだ供養の形
: 淳和天皇が遺言で選んだ“山への散骨”とは?
散骨のルーツは飛鳥時代にさかのぼり、平安時代には火葬と並存していました。
特に注目すべきは、840年に崩御した淳和天皇です。
歴史書『続日本後紀 巻第九』には、天皇が自らの遺骨を京都の西山山頂で散骨するよう命じたと記録されています。
これは日本初の散骨ではありません。
同じ書物には、側近が「帝王が墓を持たないのは前代未聞」と反対した記述もあります。
しかし、淳和天皇は「自然に還りたい」という意思を貫きました。
約1200年前から、権力者でさえ自然に還ることを願っていたのです。
このエピソードから、当時、身分の高い人にはお墓が一般的だったものの、一般庶民にとって散骨は珍しいことではなかったとわかります。
つまり、散骨は古くから日本で行われていたのです。
5. 【想い】万葉集に詠まれた散骨:歌に込められた「自然に還る」想い
: 万葉集の歌が示す当時の供養観
日本最古の歌集『万葉集』にも、散骨された際の心情を詠んだ和歌が残されています。
読人不知歌(よみひとしらずのうた)の中に、このような歌があります。
「玉梓能 妹者珠氈 足氷木乃 清山邊 蒔散」 (読み下し:玉梓の妹は玉かもあしひきの清き山辺に撒けば散りぬる)
「玉梓之 妹者花可毛 足日木乃 此山影尓 麻氣者失留」 (読み下し:玉梓の妹は花かもあしひきのこの山蔭に撒けば失せぬる) (出典:万葉集 巻第巻第7の1415番・1416番)
この歌は、「愛しい妻は今、宝石になったのか、それとも美しい花となったのか…清らかな山のふもとにその骨を撒いたとき、彼女は静かに、自然と一つになっていった。」
といった、作者の深い愛と、自然に還っていくことへの感慨が美しく表現されています。
大切な妻のご遺骨を山に散骨するという作者の心情は、散骨が当時、人々に身近な葬送方法であったことを強く示唆しています。
6. 【背景】なぜ散骨は一時忘れ去られたのか?歴史的背景を探る
: 江戸時代の「檀家制度」が与えた影響
では、なぜ日本の散骨に対する意識が一時的に低くなったのでしょうか?
それは、主に江戸幕府の「宗教統制政策」として行われた檀家制度による影響が大きいと考えられています。
檀家制度によって、葬祭供養の全ては、それぞれが属する寺院が行うものと定められました。
これにより、
-
日頃からの参拝や法要などが「義務化」
-
寺院の権限が強化
という状況が生まれ、石造りのお墓に納骨するという方式が徐々に浸透し、当たり前になっていったのです。
お盆やお彼岸などの法要行事が確立していったのも、この檀家制度によるものです。
また、現在では刑法の死体遺棄罪や墓地埋葬等に関する法律(墓埋法)によって、ご遺骨はお墓に納骨するのが常識だという考えを後押しした側面もあります。
しかし、これらの法律が定められた明治〜昭和にかけては、散骨という供養方法はあまり知られていませんでした。
そのため、法律制定時には散骨が想定されていなかったのです。
(補足:墓埋法では、ご遺骨を「埋葬」または「収蔵」する場所として墓地や納骨堂を定めていますが、散骨に関する直接的な規定はありません。法務省は「節度をもって行われる限り違法ではない」との見解を示しています。)
7. 【理由】現代に蘇る“自然に還る”供養:今、散骨が選ばれる理由
: 変化する死生観と散骨への理解
現代では、「お墓を継ぐ人がいない」「経済的負担を減らしたい」「自然に還りたい」といった理由から、お墓のあり方に疑問を持つ人が増えています。
時代とともに死生観や供養への考え方も変化しています。
江戸時代の檀家制度や墓埋法の影響で、かつて散骨が一般的でなくなった側面もありますが、現代ではその認識が大きく変わってきています。
実際、お墓の引っ越し(改葬)の際に、過去には散骨が理由で許可が下りないケースもありました。
しかし、現在では「散骨に対する世間的な理解の広がりから否定は困難」として、自治体が許可を出す事例も増えています。
このように、散骨は現代社会で確実に、そして急速に広まっている供養の選択肢なのです。
8. 【役割】自然な供養を考える:海洋散骨オフィス一凛の役割
: 海洋散骨オフィス一凛がご提案する安心の供養
「私は山へ還りたい」──帝でさえ、自然の一部として生きた証を閉じたいと願ったのです。
そして、愛する人のご遺骨を山に撒いた詠み人は、ただ別れを悲しむのではなく、「清らかな山の風景の中で、大切な人が静かに自然と溶け合っていく」その姿に、深い愛を込めて歌を残しました。
散骨とは、宗教でも形式でもありません。
それは、故人への想いを、大地や海に託すという、祈りのかたちです。
いま、私たちはようやく、その自由な供養を選べる時代に生きています。
もしもあなたが、「お墓を継がせたくない」「自然に還りたい」と願うなら──
それは、決して特別でも風変わりでもありません。
ずっと昔から、人はそうして、大切な人を見送ってきたのです。
海洋散骨オフィス一凛では、その想いにそっと寄り添い、ご遺族の「ありがとう」を、波にのせて静かにお届けします。
東京や関東近県で海洋散骨をご検討でしたら、ぜひ海洋散骨オフィス一凛にご相談ください。
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【参考文献】
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