献体で葬儀費用がタダになるの?
献体で葬儀費用がタダになる?
献体(けんたい)とは、医学および歯学の発展のため、亡くなった際に自分の身体を研究に使ってもらうことです。
献体の手続きには、本人の意思だけでなく家族の同意が必要です。
技術の高い医師・歯科医師を社会へ送りだすために、死後に自分の肉体(遺体)を解剖学の実習用教材とする事を約束し、大学病院の解剖学教室に提供します。
もちろん、遺族が故人の意思によってです。
「医学歯学」の発展のために亡くなった遺体を、大学病院などに提供するという事です。
遺体を提供することで大学病院から『葬儀費用や謝礼が出る!』との噂がありますがそれは違います。
解剖を受けたとしても、そこで謝礼などが発生することはありません。
献体とは無報酬で自らの遺体を提供するものだからです
正確に言えば死後、遺体の搬送費用と火葬費用は大学側が負担するだけです。
葬儀費用などは故人の身内などで賄わなくてはなりませんし、謝礼などもありません。
その後、献体が終わると、「火葬」され遺骨は身内にわたされます。その期間は数か月〜2年程と、かなり時間がかかるようです。
遺骨の引き取り手がいない場合、合同墓地に埋葬されるそうです。
しかし、ここで思わぬ問題も発生しています。
献体がなぜ増えているのか?
本来は、医学歯学の発展のため、遺体を提供しているはずなのですが・・・
「葬儀費用が高額でとても・・・」 |
などの理由で、献体登録を希望している人が増えているようです。1990(平成2)年でおよそ10万人だったのに、2000(平成12)年には約20万人、2022(令和4)年3月現在では31万人以上に増えています。
死後、遺体の搬送費用や火葬費用は大学側に負担してもらおう。
そして遺骨は大学側に引き取ってもらい、共同墓地などへの納骨してもらえれば良い。
本来の趣旨や目的とは大きく違う考えで、献体を希望する人が増えているのだとか…
「命を終えたあと、誰かの役に立つのなら…」
と献体を希望することは素晴らしい考えだと思います。
しかし、火葬代やお墓の費用などの負担を考えて、献体に遺体を提供することは・・・
『ちょっと違うのではないか?』と思ってしまいます。
しかしこれも、「お墓離れ」や「葬儀」の簡素化の影響なのかもしれません。
お墓や葬儀にお金を掛ける事への疑問や不信感が、そこには少なからずあるのではないでしょうか。
従来の葬式に大金を払い、有難いのか良くわからない「戒名」を授かりお墓に入る・・・
もうそれが当たり前ではなくなってきているのです。
そのため、大学側に葬儀も負担をしてもらおうと、考える方が出てきても不思議ではありません。
今後は日本でも貧富の差は、益々広がっていくのではないかと言われています。
『葬儀の費用を用意できない…』
そのような家庭も増えてくるのかもしれません。
実際に葬儀の簡素化や、墓じまいや宗教離れも経済的な問題が大きく関わっているのではないでしょうか。
しかし、上記にも書きましたが医学の発展のための献体です。
『自分の亡骸が誰かの役に立つのかもしれない…』 |
そう考えると献体とは、もっと世に知られるべき事なのではないでしょうか?
誰でも献体登録できるわけではない!
本人が献体を望んでいても登録できないことがあります。
:遺族に献体の反対者がいる:遺族の同意が取れていない:遺族の中に遺骨を引き取る者がいない ※1:登録大学のある場所から遠方で亡くなった:遺体の損傷が激しい:エバーミング(防腐処理)がしてある:過去に臓器提供をしている:感染症にて亡くなった |
※1 大学に納骨堂がある場合は遺骨の引き取り手がいなくても献体可能です。
上記の場合には献体を受けれないことがあります。
その他にも大学によっては成人以上であれば問題ない場合や、60歳以上のみとする年齢制限もあります。
献体をお考えの方は、献体登録できる最寄りの医学部か歯学部のある大学に問い合わせてみては如何でしょうか。
まとめ
献体とは医学歯学の大学で行われる人体解剖実習の教材研究の対象として、自分の遺体を無条件・無報酬で提供する篤志行為の事をいいます。
本人が献体を望んでいても遺族の同意がないと献体は難しいようです。
その背景には献体自体の認識不足でもあるのではないでしょうか。
人は亡くなると先祖の墓に入り、子と孫と代々継がれていくと考えられていました。
しかし、その常識と思われていた考えは、すでに崩壊しかかっています。
時代は常に進化しています。
情報のグローバル化などにより、人々の意識や考えも常に変化しているのです。
献体を反対する親族が居ても不思議ではありません。
しかしそれは、故人が献体を望んでいたのであれば、その遺志に反することでもあるのです。
死後ビジネスに大金を払う所謂『一般的な葬儀のあり方…』
皆様はどう思われますか?
※追記
大学側の手違いで本来、返すはずであった遺骨を違う献体提供者の遺族に送ってしまうというあってはならない事故が実際に起こっています。
大学側の今後の課題ではないでしょうか。
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