1. 今、話題の？3Dフィギュア供養とは？

このサービスは、故人が生前に撮影した写真や動画を元に、3Dのデジタルデータを作成し、それを3Dプリンターで立体的なフィギュアとして出力するものです。

• どんな人が利用しているか

  • 遠方に住んでいてお墓参りが難しい方。

  • 自宅で故人を身近に感じて供養したい方。

  • 愛する故人との思い出を、よりリアルな形で手元に残したいと願う方。

写真1枚からでも作成できるサービスもあり、プロのデザイナーが故人の特徴を再現してくれます。

中には、故人の遺骨や遺灰をフィギュアの中に納めることができるものもあります。

2. なぜ今、3Dフィギュアが選ばれるのか？

無宗教化や墓じまい、少子化といった社会の変化が、供養のあり方を見直すきっかけとなっています。

3Dフィギュア供養は、こうした現代のニーズと見事に合致しています。
 

• 無宗教化・墓じまいの流れ
  ： お墓や仏壇を持たない選択肢として、故人を形として残すフィギュア供養が選ばれています。

• 死後も“個”の時代に
  ： 画一的な供養ではなく、故人の個性を大切にしたいという想いが、オーダーメイドのフィギュアという形で表現されています。

• 生前予約も増加
  ： 「自分らしい形で残されたい」「家族に負担をかけたくない」と、生前からこのサービスを予約する人も増えています。

3. 3Dフィギュア供養のメリット・喜ばれる理由

この供養方法が支持される最大の理由は、感情的な部分に深く訴えかける力があるからです。
 

• 感情的な癒し
  ： 遺影写真とは違い、立体的な姿をいつでも眺め、触れることができるため、故人との再会を実感でき、大きな心の支えとなります。

• 家族の象徴としての存在
  ： リビングや寝室に飾ることで、故人の存在を身近に感じられ、家族の絆を再確認する象徴的な存在となります。

• リアルに「もう一度会える」感覚
  ： 故人の生き生きとした表情や仕草を再現することで、「本当に目の前にいるようだ」と感じる人もいます。

4. 3Dフィギュア供養の問題点と懸念

一方で、この新しいサービスには、注意すべき点も存在します。
 

• 精神的ショックになるケース
  ： 精巧に作られたフィギュアが、かえって故人の死を強く意識させ、精神的な負担となる場合があります。

• 宗教的タブー・倫理問題
  ： 一部の宗教観や伝統的な価値観を持つ家族からは、「不謹慎だ」「故人をモノにするのか」といった反発を招く可能性があります。

• 家族間トラブル・本人同意問題
  ： 生前に本人の同意が得られていない場合、フィギュアの作成を巡って遺族間で意見が対立することがあります。故人らしい供養をするためには、家族全員で話し合うことが不可欠です。

5. このサービスが映し出す「死後ビジネスの未来」

3Dフィギュア供養は、現代社会の価値観の変化を象徴しています。

供養の選択肢が増えることは素晴らしいことですが、その一方で、「商業化」が進む供養ビジネスのあり方を考えるきっかけにもなります。

私たちは、「形」にこだわることで本当に心は満たされるのでしょうか？

仏壇や戒名、お墓といった従来の文化と、新しい供養のカタチはどのように共存していくべきなのでしょうか。

このサービスは、「何を残し、何を手放すのか」という、私たち自身の死生観を問い直しているのかもしれません。

6. 供養とは"心"なのか、"カタチ"なのか──揺れる死生観

3Dフィギュア、ミニ骨壺、ダイヤモンド葬──現代の供養には、形のある“手元に置く”スタイルが次々と登場しています。

それは、遠くのお墓や仏壇に代わり、「いつでも一緒にいたい」という現代人のリアルな想いに応える供養でもあります。

しかし一方で、こうした“カタチ”にこだわるのが、本当に心の拠り所になるのでしょうか。

触れることで悲しみが癒える人もいれば、かえって悲しみが深まる人もいます。

手元にあることで安心する人もいれば、手放せず前に進めなくなる人もいます。

供養とは、本来“故人のため”のものですが、実際には“残された人の心”の整理のためでもあります。

私たちは今、かつてのような正解のない時代に立っています。

だからこそ大切なのは、形式や価格、便利さではなく、「本当に心が安らげる供養とは何か？」を、自分自身に問いかけることではないでしょうか。

そしてそれは、“カタチ”に残すことだけが正解ではないということも──今、あらためて考えてみてもいいのかもしれませんね。