広がらない寺院のキャッシュレス化
現金主義の背景と未来を徹底解説
神社やお寺にお参りに行った際に、当たり前のようにやっているお賽銭。
しかし賽銭箱にお金を入れるこの行為…ちょっと不便だと感じる方が増えていることをご存じでしょうか?
スマートフォン一つで買い物から交通機関の利用まで完結するキャッシュレス社会では、普段から現金を持ち歩かない人も増加しています。
そのため、縁起が良いとされる5円玉(ご縁)を持っていなかったので、一緒に来ていた家族や知人に「お賽銭を借りた」という話も、もはや珍しくありません。
では、キャッシュレス決済が主流となりつつある今、寺院や神社でのキャッシュレス対応はどのように進んでいるのでしょうか?
今回は、寺院のキャッシュレス化の現状と、その背景にある「見えない壁」について深く掘り下げていきます。
~目次~ 1.【世の中の変化】キャッシュレス化はどこまで進んでいるのか? 2.【仏教界の声明】なぜ仏教界はキャッシュレス化に反対するのか? 3.【導入の是非】寺院におけるキャッシュレスのメリットとデメリット |
キャッシュレス化はどこまで進んでいるのか?
今や日本全国でキャッシュレス決済が推進され、街中では「PayPay」や「LINE Pay」といったQRコード決済はもちろん、各種クレジットカードや電子マネーを導入しているお店を数多く見かけます。
国際的に見ても、日本はキャッシュレス化において「遅れている」と言われるほど。
先進国では、現金を持たずにコンビニで買い物をしたり、電車に乗れてしまうのは当たり前です。
スマートフォン一つあれば、会計からポイント還元まで全てが完結する、まさに「スマホ経済圏」が確立されています。
このような時代の流れに乗り、お賽銭やお布施のキャッシュレス決済を導入した寺院も登場しました。
現金が使えないキャッシュレス専用の自動販売機で500円のコインを購入し、それを賽銭箱に入れる、あるいはお守りなどの購入通貨としても利用できるといった先進的な試みも行われています。
なぜ宗教界はキャッシュレス化に反対するのか?
しかし、このような動きに対し、仏教界の一部からはお布施の「キャッシュレス化」に異議を唱える声も上がっています
現金かキャッシュレスか、どちらが良いかは個人の価値観にもよりますが、なぜ仏教界は時代の流れに逆らう姿勢を見せるのでしょうか?
数年前、京都仏教会が「お布施や賽銭などのキャッシュレス決済」導入に反対する声明文を発表したことをご存じでしょうか。
その内容は多岐にわたりますが、要約すると以下の通りです。
声明文「布施の原点に還る」 一、「聖俗の分離」に従う
二、「信教の自由」を守る
三、「寺院への対応」を求める
令和元年6月28日 一般財団法人京都仏教会 理事長 有馬賴底 |
つまり、この声明文は、お寺の「宗教活動」と「世俗的なビジネス」をはっきりと区別し、信仰の自由や信者のプライバシーを守るために、キャッシュレス化には反対するという強い意志を示していると言えます。
そして、その背景には、課税への懸念といった「大人の事情」も含まれていると解釈できるでしょう。
このように、各種団体や組合の上層部が明確に反対しているため、寺院でのキャッシュレス化導入は一筋縄ではいかないのが現状のようです。
しかし、この声明文を、各寺院の檀家や一般の参拝者がどのように受け止めるべきなのでしょうか。
「まったくその通りだ」と素直に思えるのか、疑問が残ります。
寺院におけるキャッシュレスのメリットとデメリット
ここで改めて、キャッシュレス決済の一般的なメリット・デメリットを確認してみましょう。
【キャッシュレスのメリット】利便性の向上 : 現金がなくても買い物や支払いができる。ATMを探す手間が省ける。ポイント還元・割引 : 支払い額に応じてポイントが貯まったり、割引を受けられる場合がある。会計管理の容易さ : 決済データが残り、家計簿アプリなどと連携して支出を把握しやすい。防犯対策 : 大金を持ち歩かずに済み、紛失・盗難時もサービスを停止して悪用を防げる。 |
【キャッシュレスのデメリット】対応店舗の限定 : キャッシュレス決済に対応していない店舗や施設もまだ存在する。使いすぎのリスク : 現金と異なり、使った金額が視覚的に分かりにくいため、使いすぎにつながりやすい。情報漏洩のリスク : 決済情報や個人情報がサイバー攻撃などにより漏洩する可能性。導入コストと手数料 : 導入側(店舗や寺院など)には、決済端末の導入費用や、売上に応じた決済手数料(一般的に数%程度)の負担が発生する。 |
特に、寺院側にとっては「決済手数料」の負担や、非課税である「お布施」が課税対象となる可能性は、無視できない大きなデメリットとなり得ます。
キャッシュレス決済を導入している寺院の事例
仏教界の一部が反対する中でも、実際にキャッシュレス決済を導入している寺院は存在します。
その数はまだ少ないものの、時代の変化に対応しようとする動きは着実に広がっています。
【キャッシュレス決済を導入している寺院・神社(一部)】
年間約100万人の参拝客が訪れる観光名所。御守りなどのキャッシュレス決済などが可能です。 |
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クレジットカード、デビットカード、au PAYでのキャッシュレスお布施受納が可能です。 |
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スマートフォンでおさい銭を納めるシステムにキャッシュレスを導入してあります。 |
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初詣期間の特定の日に限り、普通のおさい銭箱とは別に電子決済用のおさい銭箱が置かれています。 |
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2018年からキャッシュレス化に対応。四国霊場でキャッシュレス化を試みたのは、平等寺が初めてです。 |
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IC系交通カードを含む数多くの電子マネーが利用可能です。さい銭については現金のみとなっています。 |
これらの事例を見ると、特に外国人観光客の多い観光名所となっている寺院が、積極的にキャッシュレス化を導入している傾向が見て取れます。
これは、利用者の利便性向上だけでなく、集まった賽銭を銀行に預け入れる際の「硬貨入金手数料」の負担を減らす目的もあるようです。
その他にも日本三大稲荷に由緒ある「宗教法人妙厳寺 豊川稲荷」で、キャッシュレスでのデジタル賽銭を開始しています。
その背景には急増している、外国人観光客に対応する為の後押しがあるとも言われています。
寺院の未来とキャッシュレス化の展望
世界的に見てもキャッシュレスの普及は今後も確実に進んでいくでしょう。
その背景には「時代の流れ」と、何よりも「便利さ」があります。
しかし、寺院や神社でのキャッシュレス化には、まだまだ時間がかかりそうです。
一部の仏教団体の反対意見があるものの、それ以上に「お布施やお賽銭は現金で」という考え方が、今なお多くの日本人の心に根強く残っているのかもしれません。
「ご縁がありますように…」と5円玉を入れたり、「二重にご縁が…」と25円を入れたり、日本人は数字の語呂合わせを好む傾向があります。
そして時代の流れは、私たちが気づかないうちにものすごいスピードで変化しています。
5年前の常識が今では当たり前ではなく、今の常識が5年後には通用しなくなることも、ごく普通に起こりうることです。
そう考えると、近い将来、お賽銭もキャッシュレスの時代になっているのかもしれません。
現在、寺院は破綻傾向にあり、その数が減っていくと予測されています。
これも時代の変化であって、お布施や寄付金が集まらず、一部の有名な寺院等以外はどこも経営が厳しいのが現状のようです。
このような状況下で、存続を考え時代の流れに乗ることもまた、重要な選択肢となり得るでしょう。
キャッシュレスを導入すると、売上から手数料が引かれるなどのデメリットもありますが、利用者の利便性を飛躍的に高めてくれる大きなメリットもあります。
特に外国人観光客の増加に伴い、お守りやお札の購入の際に電子マネーやクレジットカードなどのキャッシュレス決済を行う寺社は今後も増えていくでしょう。
ご存じの通り、宗教法人ではお賽銭などのお布施やお守りなどの販売は宗教活動に関わる事業として、原則非課税となっています。
しかし、キャッシュレス決済を導入することで、決済事業者への手数料が生じるということは、これを収益事業とみなされ、非課税ではなく課税対象となる見方もあるようです。
現金かキャッシュレスか、どちらが良いのかは、それぞれの価値観もありますから難しいところですね。
「大人の事情」も含まれているであろうこの問題。
情報がグローバル化した現代において、いわゆる宗教法人の「大人の事情」を隠し通すことは不可能なのではないでしょうか。
ちなみに、キャッシュレス(クレジットカード)で支払えば、そのクレジットカード会社のポイント還元などがありますが、寺院等がキャッシュレス還元事業に参加しているかどうかで還元率が変わるようです。
【余談】お賽銭に500円玉を入れてはいけない都市伝説
『5円(ご縁)の100倍のご利益を…』とはいかないそうです。
500円玉は「これ以上の硬貨(効果)がないから!」という都市伝説があります。
ならば5円玉を100枚…それは手数料の嫌がらせになるかもなので、やめておきましょう。
まぁ気持ちの問題だと思いますがね…
最後に、キャッシュレス化に反対する宗教界の「本当の理由」とは何なのでしょうか?それは皆さんが想像している「税金」なのかもしれませんね。
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